文章や和歌を読んでいて気持ちがいいなとか、ちょっとした感動を覚えたとか、そのような経験をしたことはないでしょうか。そう感じたものを少し書き出してみたいと思います。共感して頂けるとうれしいです。
①読んでみて名文と思う文章から。 (月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり。船の上に生涯を浮かべ馬の口とらへて老いを迎ふる者は、日々旅にして、旅を栖とす。古人も多く旅に死せるあり・・)名文中の名文、白眉だと思います。しかも筆力が格別ではないかと。
②小説の出だし文章の傑作 「吾輩は猫である。名前はまだない。」単純明快、猫の気位の高さまでも。この先を早く読みたい気にさせます。
③恋歌の傑作 「来むと言うも来ぬ時あるを来じと言うを来むとは待たじ来じというものを」1300年以上前の、とある女性の恋歌です。気持の揺れそのままのリズム感があって、1300年前の女性が立体感をもって眼の前に現われて来そうでしょう。(来ると言っても来ないのだし、来ないと言ったら来るのでしょうか、でもあてにしないわあなたは来ないと言っているのですもの) ④別離の詩傑作2首 その1 (韓衣裾に取りつき泣く子らを置きてそ来ぬや母なしにして)
その2 (父母が頭かきなで幸あれていいしけとばぜ忘れかねつる)この2首とも大宰府の警護のため故郷から出兵する男の詩です。一つは母を亡くしたわが子を残して出兵する父親、いま一つは両親を残して出兵する子が太宰府への旅の途中で読んだものです。当時の太宰府への旅は、行きも帰りも命がけの旅だったようです。親と子それぞれの痛みを伴った別れの残像が、小さな感動の波とともに押し寄せて来ないですか。どこかしら懐かしさにも似た素朴な日本人の原風景がそこにあるような気さえします。
⑤往復書簡の傑作 ある高名な作家が自作の小説の売れ具合を気にして出版社に宛てた手紙とその返信の手紙です。 「?」・・・・・「!!!」 わかりやすく簡潔でこれ以上の手紙はないと感じ入った次第です。 「サンシャインゆり」への来訪を心よりお待ちしております。