サ高住、高齢者向けマンション最後の一葉

高齢者向けマンションや老夫婦・独居老人の住宅では「振り込め詐欺」の被害が多いそうです。手まえみそですが、サンシャインゆりでは、このような被害を未然に防ぐことができるように思います。時間を追うごとに職員とご利用者様の距離が少しづつ縮まっていますので、心を開いてくださって何かと相談してもらえるかもしれませんから。
振り込め詐欺は、「うそ」をつくことですからもちろん悪いことですが、この「うそ」について少しお話しますね。心に沁みる「一枚のツタの葉」の物語です。
印象に残る「相手を騙す」物語がありますので紹介します。
舞台はアメリカのワシントンスクエア。三階建てのレンガ造りの家。病に冒された一人の少女が窓際のベッドで眠っていました。
この少女の助かる見込みはほとんどなく、お医者様は「治療よりむしろ、自分で生きようとする強い意志が必要ですよ」と少女に伝えました。しかし、少女にはその「生きようとする強い意志」がなく、自分の死期のことばかりを考えていました。少女が寝ているベッドからは、向い側の窓のない建物が見え、その壁にはたくさんの葉をつけた一本の蔦が這いあがっていました。そのツタの葉は冬の訪れと共に少しずつ少しずつ落ちていきました。
少女はその葉を見ながら「このツタの葉の最後の一枚が落ちてなくなったとき自分も死ぬ。」と予感していました。
ある寒い冬の夜。強い嵐が、叩きつけるような雨といっしょにやってきました。震えながら一枚一枚剥がれていくツタの葉を見ながら、少女は「自分の最後の時がそこまで来てる。」と感じ、静かに目を閉じ眠りにつきました。
しかし翌日、少女が窓の外を見ると、昨夜の風雨に耐え最後のツタの一葉が壁に張り付いていました。力づよく生きているその最後の一葉をみた少女の心に「生きる」意欲が湧いてくるのでした。それから、次第に少女は回復し、死の危機から脱出しました。
ちょうどその頃、一人の身寄りのない老人が肺炎で亡くなりました。先の嵐の夜その老人が、靴も服もびしょ濡れの状態で玄関の前にいたところを管理人に発見されたのです。こんな嵐の夜にこの老人は何をしていたのか。周囲の人々が不思議に思っていたその時、少女が見た最後のツタの葉は本物ではなく、絵であることに気が付きました。しばらくして、その老人の部屋から、嵐の夜に使ったと思われる梯子と絵筆が散らばっていることが確認された。少女が見た一枚の葉はまさしくこの老人が描いたものでした。
少女は騙され、老人はこの少女を騙しました。「ウソ」が許されるのは、そこに深い愛があるかどうかでしょうか。皆様はこの物語、この老人にどのような思いを馳せるのでしょうか。
スタッフ F でした。